トヨタ自動車はみなさんご存知の通り、日本を代表する自動車メーカーのひとつです。
時価総額日本1位の31兆円のグローバル企業です。長年日本を代表する企業として成長し続けている企業であり、私としてもなぜトヨタが成長し続けられているかぜひ秘密を教えていただきたいものです。
私も愛知県の製造業の会社員として働いているものとして、トヨタを見習っていきたいものです。
話は少し変わりますが、トヨタ自動車ではよくA3資料で言いたいことをまとめる文化があったと言われています。大卒だと、入社3年目に担当事技職から指導職という役職に上がるための教育があり、その時にA3を用いた問題解決の基礎を実践を通して学びます。また、指導職から係長にあたる主任職へ上がる教育でも同じような問題解決の教育があります。
若手〜中堅社員まで教育で実践するということは、トヨタの中でこの問題解決の手法を学ぶことが意義のあることだという位置付けであることが伺えます。
トヨタの問題解決とは
トヨタの問題解決は通称TBP(Toyota Business Practice)と呼ばれています。TBPは、トヨタで働く人に共通して求められる問題解決の手法を8ステップにまとめたものです。8ステップは以下のステップになります。
- 問題を明確にする
- 問題を層別し問題点を特定する
- 目標を設定する
- 真因を特定する
- 対策を立案する
- 対策を実施する
- 結果と取り組みの過程を評価する
- 標準化し横展する
トヨタの問題解決で大切にしていることは、解決策に関する議論が先行しがちにならないように、問題点をしっかりと突き止めることです。まさに闇夜の鉄砲を打たないことにあります。 問題をしっかりと定義して、要因を絞り込んで、最も効果のある部分から手をうつ、そんな一連の問題解決の方法を誰でもできるようにまとめたものがまさにTBPといえます。
STEP1.問題を明確にする
このステップでは、解決したい問題は何かを明確に定義します。ぼんやりしている問題意識を、問題と言えるレベルまで明確にし、その問題を解決する必要性を明らかにします。
まずは仕事の目的を考えます。
どんな仕事も会社にとっての価値のあるものです。「上司に言われたから」というだけの仕事の意識ではなく、さらになぜ上司は私に指示したのか?そんな上位の目的も把握して仕事をしましょう。
目的は、「誰が」「何を」「どうする」ためか、具体的に落とし込んで考えると良いでしょう。
例;販売店業務の場合
❌大まかな目的;お客様に、トヨタの車を、購入してもらう
⭕️具体的な目的;来店されたお客様に、カローラを、購入していただく
具体的に考える、ということがポイントです。
そして、仕事のあるべき姿を考えてください。目的のために、「誰が」「いつ」「どの程度」「どうなっているか」仕事の理想的な状態を明らかにします。ここでも具体的に表現してください。
例;販売店業務の場合
❌曖昧なあるべき姿;お客様が、販売店スタッフを通じて、カローラを、今以上に、購入している
⭕️具体的なあるべき姿;お客様が、販売店スタッフを通じて、12月までに、カローラを、月に1万台、購入している
最後に、現状を把握し、このあるべき姿とのギャップがあることを問題ととらえます。
| あるべき姿 | 現状 | ギャップ | |
| 誰が | お客様が | ← | |
| いつ | 12月までに | ← | |
| 何を | カローラを | ← | |
| どの程度 | 月1万台 | 月5000台 | 月5000台 |
| どうなっている | 購入している | ← |
ここから、問題はあるべき姿とのギャップである、お客様が、12月までにカローラを月5000台購入していないということになる。
ここでは具体的に数字を用いて定量的に表現することで、より問題を明確にすることができています。また、あるべき姿という理想状態を出発点とすることから、この問題であるギャップを解消することで確実にあるべき姿に近づけることができます。
このあるべき姿の設定が間違っていると、これ以降で課題解決できたとしても誰も嬉しくありません。逆に、ここでの問題設定が非常に重要になってきます。
STEP2.問題を層別し問題点を特定する
ステップ1で明確にした問題は、まだまださまざまな事柄が組み合わさって複雑化していることが大抵です。そこでこのステップで問題を層別(=細かく細分化)し、問題を絞り込みます。
問題を絞り込む際の切り口を紹介します。
「What;何が」「Where;どこに」「When;いつ」「Who;だれ」
「Man;人」「Machine;設備」「Material;材料」「Method;方法」
「Customer;顧客」「Competitor;競合」「Company;会社」
さまざまな切り口で漏れなく検討し、どの切り口が感度良く問題を層別できるのかが重要です。
例えば、販売店の例を出すと、どの月が売れていないのか、どの地域で売れていないのか、など層別したとします。極端に10月の売り上げが低いとなっていれば、感度の良い切り口といえますが、どの月も差がない場合もあります。その場合は良い切り口とはいえません。なので、別の切り口で層別してみます。
層別の結果、問題がありそうなところは複数出てくると思います。その場合は、優先順位をつけて取り組むべき問題を決めます。優先順位をつける際は、「重要度」「緊急度」「拡大傾向」などで優先順位をつけ、取り組むべき問題を決めます。全てを潰さないといけない問題もあると思います。その場合は、自分一人ではどうしようもないので、上司などに相談して、人を当ててもらうなりして、問題解決に取り組む必要があります。
取り組む問題が決まったら、要因追及、、、といきたいところですが、ここからさらに問題を絞り込みます。それは、必ずしも問題が見つかった場所で問題が発生しているわけではなく、そこまでのプロセスの中で問題が発生しているものだからです。
製造工程などは、プロセスが見えやすいですが、事務系の場合はプロセス自体が見えにくいことがあります。その場合は、アウトプットをに至るまでの理想のプロセスを考えます。このプロセスを確認するときには現地現物でしっかりと事実にも続いてプロセスを書くことが大切です。
例えば、DMを見てから来店するというお客様のプロセスを羅列すると以下のように書けます。
- DMを見る
- イベントをやっていることを知る
- 店舗に行きたいと思う
- 自分の都合が合う
- 移動する
- 来店する
上記のプロセスの中で、最後から遡ったときにどこで問題が発生しているのかを現地現物で事実に基づいて突き止めます。店舗に行きたいと思う人が少ないというところに問題点があった場合と、そもそもDM開封率が低くそもそも見られていないというところに問題点があった場合でこの先の要因・対策が全く別になることが想像できますよね。
したがって、どこに問題点があるのか、絞り込むことは大切になります。
STEP3.目標を設定する
ここまでで絞り込んだ問題にたいして、定量的、具体的な目標を決めます。この目標はこの先のスケジュールや必要な工数に影響を与えます。また、STEP7で結果の振り返りをする際の評価指標になりますので、具体的な表現で、定量的な数字を用いて目標を設定しましょう。
例えば、顧客満足度の向上、、は定性的な表現ですよね。お客様の満足度アンケート(5段階評価)で4以上の比率を60%から80%に向上する、、といった場合どうでしょうか。かなり具体的に、定量的な表現になったと思います。これで最終的にこの取り組みの結果殿まで到達したのか、目標の指標が明確になったと思います。
STEP4.真因を特定する
ここからSTEP3で明確にした問題点に対して、要因を深掘りしていきます。ここで、「なぜ」と考えることで、問題を深掘りすることができます。要因となりそうなことを推定し、事実であれば要因として記載する。このようにここでも事実に基づいて記載しましょう。また、「なぜ」で出てきた要因に対してさらに「なぜ」と深掘りをしてください。このときに、トヨタでは「なぜなぜ5回」と言われることがあります。これは、なぜと深掘りした要因をさらになぜと問うことで本当の要因=真因を探し出すための方法です。単に5回やればいいというものではないので注意してください。
またこの時の注意点に人の意識を真因にしない、ということがあります。
例えば、
スタッフの受注成約率が低下していることが問題点だとしたら
❌スタッフの活動量が少ない→活動に対する意識が低いから=真因
⭕️スタッフの活動量が少ない→活動に対する意識が低いから→活動しても成果が上がらないから→きちんとしたやり方を知らないから→やり方を教えていないから=真因
上記のようになぜそのような意識を人が持ってしまったのかというところまで深掘りをすることが大切です。作業員がめんどくさいからとかに対しても、何故めんどくさいと思ったのか、、そこに真因があると考えます。
STEP5.対策を立案する
STEP4で明らかになった真因に対して対策案を立案していきます。ここは、幅広く洗い出すこと、もれやダブりがないか確認すること、効果的かつ効率的な対策に絞り込むことを意識してください。また、ここで関係者と合意形成をし、誰がいつまでに何をやるのか、スケジュールも明確にしてください。
対策は自分一人ではできないことが往々にしてあると思います。その際に、関係者にしっかりと問題を把握してもらい、納期を明確にして一緒に問題の対策へ進んでください。
STEP6.対策を実行する
STEP5で立てた実行計画に則って関係者を動かしながら対策を実行してください。関係者の進捗をしっかりとフォローし、推進指定行くことが大切です。対策の実行中にはさまざまな障壁があると思います。関係者にSTEP1〜5で考えてきた根幹を揺るがそうとしてくる人もいます。思考の逆戻りにならないように、あきらめず、トライアンドエラーで死早く次の手を打って実行していきましょう。
STEP7.結果と取り組み過程を評価する
STEP3で立てた目標に対して、目標達成できたのか、対策は実行したけれど、効果がなかったのか、ここのステップでしっかりと評価をしてください。また、全体の取り組み過程についても評価をすることで、もっと良い進め方はなかったのか、成功失敗のポイントが見えてきます。必然的かつ継続的に結果を出すことが求められますので、ここでの取り組み過程を振り返り次回の取り組みに生かしてください。
ここでの結果次第で、次のステップを決めます。
目標を達成した場合は、残った問題を実施したり、次のSTEP8へ進みます。
目標が未達成の場合は、STEP4へ戻り別の真因や要因を深掘りした際の「なぜなぜ」をやり直すなどしてください。
STEP8.標準化し、横展する
今回発生した問題を再発させないために、仕組み化することが必要になります。それは、トヨタのような大きな会社だけではなく、「いつ、誰がやっても、ムリなく、ムダなく同じようにできる」ことが仕組み化するということです。この仕組みを定着することが標準化するということです。標準化にはいろいろな方法がありますが、マニュアル、見本、帳票、チェックシート、フローチャート、規定なども標準化です。
そして、標準化したものを横展する。横展とは、トヨタ用語で、標準化した仕組みを積極的にオープンにし他の部署や工場などのでも同じ仕組みを活用することを意味します。横に展開するという言葉の略語です。
会社として同じ問題を他の誰かが同じように取り組んでいたら、時間の無駄になってしまいます。そうならないためにも積極的に情報を公開し、同じような課題への成功の取り組みを取り入れることが大切です。
以上がトヨタの問題解決の解説になります。
ぜひ自分の課題解決の視点に生かしてみてください。
さらに学びたい方は書籍の購入もおすすめです!
また、問題解決といえばコンサルというイメージの方もいると思います。その方はさらに以下の書籍をお勧めします!
社会人には必須のスキルが問題解決力です!ぜひ大学生のうちからアンテナを高く持って自分のものにしてみて下さい。